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日韓マーケット解説

【解説 第1回】日本株の値動き、理由は韓国と世界のどこに?「3つの層」で見る方法

この記事は、日韓の市場を並べて見るときに知っておきたい基本を解説するシリーズです。記事中の制度・企業資料は2026年11月2日と6日に確認したもので、記録の仕組みは2026年11月6日時点のものです。2026年11月2日に公開した記事を、日本の投資家の視点で書き直しました(2026年11月6日)。

東京エレクトロンやトヨタ自動車が大きく動いた日、その理由が日本だけの事情なのかは、日本株だけを見ていても分かりません。同じ日の韓国の競合・顧客の株価と並べて初めて見えてきます。このブログは、その比較を3つの関係に絞って毎日記録し、世界情勢や金利は理由を考えるための背景として記録しています。

この記事で分かること

  • 日本株の値動きを、韓国の競合・顧客と並べると何が分かるか
  • 「3つの層」のうち、毎日採点するのはどこで、背景として見るのはどこか(韓国の金利・株価指数の基本を含みます)
  • 日韓の休場日がずれることと、時差がないことが、比べ方にどう関わるか

日本株だけでは分けられないこと

例えば、東京エレクトロンが大きく下がった日を考えます。理由は、日本だけの事情かもしれませんし、米国の半導体株の動きかもしれません。顧客である韓国のメモリ大手の事情かもしれません。東京エレクトロンの有価証券報告書では、2025年4月〜2026年3月の主な販売先として、サムスン電子(005930、韓国)が総販売実績の15.1%を占めています(同じ企業グループ向けを含む、東京エレクトロン 有価証券報告書 第63期、23ページ)。

同じ日に韓国のメモリ株も同じように下げていれば、日本だけの事情ではない可能性が高まります。韓国側が動いていなければ、日本側の事情を探すことになります。トヨタ自動車でも同じで、円が動いた日に韓国の現代自動車と比べると、為替の影響が両国の自動車株で違って表れたかを確かめられます。

日本株だけを見ていると見落とす「韓国側」を、並べて見えるようにするのがこのブログの出発点です。

3つの層:毎日採点するのは3層だけ

3つの層:毎日採点するのは3層だけ

出所:筆者作成(このブログの分析の枠組み、2026年11月6日時点)

3層:日本株と韓国の比較相手(毎日採点)

日本の銘柄ごとに、韓国の比較相手を決めています。

日本の銘柄韓国の比較相手関係
東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)サムスン電子(005930、韓国)、SKハイニックス(000660、韓国)装置メーカーと、その顧客のメモリメーカー
トヨタ自動車(7203)現代自動車(005380、韓国)同業
日本製鉄(5401)POSCOホールディングス(005490、韓国)同業
TOPIX(東証株価指数)KOSPI(韓国総合株価指数)市場全体

KOSPIは韓国取引所のメイン市場(KOSPI市場)の株価指数で、1980年1月4日を100として時価総額をもとに計算されています(韓国取引所)。

そのうえで、日本の投資家の問いの形で、次の3つの関係を毎日採点しています。

  1. 円/ウォン(100円=○○ウォン、数字が大きいほど円高・ウォン安、韓国のハナ銀行の告示をDaum金融で記録)が大きく動いた日に、トヨタ自動車・日本製鉄は韓国の同業より、市場全体と比べて強かったか、弱かったか(第2回で説明します)。
  2. 東京エレクトロン・アドバンテストが大きく動いた日の翌取引日に、韓国のメモリ株が同じ向きに動くか(第3回で説明します)。
  3. 米国のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が大きく動いた翌取引日に、日本の装置株と韓国のメモリ株のどちらが大きく反応するか。

どれも確かめている最中の仮説です。採点は2026年11月2日の取引日から始め、12週間(2027年1月22日のデータまで)たった時点で、判定できた日が20日以上あり、当たった割合が60%以上かどうかで、記録を続けるかを決めます。

1層:世界情勢(背景)

米国の10年債利回り・政策金利・ドル(FRBが公表する広義のドル指数)、ブレント原油、台湾の株価指数・TSMCの月次売上・電子部品の輸出を、毎週記録しています。3層の数字が動いた理由を考えるときの手がかりで、採点はしません。例外は米国のSOXで、関係2の比べる相手と関係3の原因として採点に使います。

2層:日韓の金利・国債(背景)

日本側は日銀の政策金利と日本10年国債利回りです。韓国側は日本の読者になじみが薄いと思うので、少し説明します。

  • 韓国銀行の政策金利:韓国銀行(Bank of Korea)は韓国の中央銀行です。政策金利(Base Rate)は、最高意思決定機関の金融通貨委員会が、年8回の定例会合で決めます(韓国銀行)。
  • 韓国国債3年物・10年物:韓国政府が発行する国債で、韓国では「国庫債(KTB)」と呼ばれます(韓国政府の国庫債情報サイト)。利回りは韓国金融投資協会の債券情報センターなどの公開画面で記録しています。

円/ウォンは日本側と韓国側の両方の事情で動くため、日銀だけでなく韓国銀行の決定も背景として記録しています。

比べるときの2つの約束

日韓共通の取引日だけで比べる

日韓共通の取引日だけで比べる

出所:日本取引所グループ、韓国取引所(2026年11月2日確認)

日本と韓国は祝日が違います。2026年10月5日〜11月6日の平日25日では、10月5日(開天節の振替休日)と10月9日(ハングルの日)は韓国だけが休場、10月12日(スポーツの日)と11月3日(文化の日)は日本だけが休場です(日本取引所グループ、韓国取引所、同・韓国語版)。

日本が休んだ日にも韓国株は動いています。休場明けの日本株の1日分の値動きは、韓国では2日分にあたります。そのため、日韓がともに開いていた日だけを並べ、その日どうしの変化で比べています。韓国株は正規の取引時間の終値(正規取引終値)を使い、時間外取引の価格は混ぜません。

時差がないので、同じ日の終値では順番が分からない

日本の標準時は東経135度の子午線の時刻で(情報通信研究機構(NICT))、韓国の標準時も法律で東経135度の子午線を基準に定められているため(韓国「標準時に関する法律」)、時差はありません。取引時間も、東京証券取引所は9時〜11時30分と12時30分〜15時30分(日本取引所グループ)、韓国取引所の正規の取引は9時〜15時30分(韓国時間、韓国取引所)で、東京とソウルの終値は同じ時刻に決まります。そのため、「日本株が先に動いたか」は同じ日の数字では分かりません。関係2で「翌取引日」を見ているのはこのためです。

日韓を一緒に見ると

日本株を持っている方にとって、韓国の比較相手は次のような意味を持ちます。

  • 東京エレクトロン・アドバンテスト:サムスン電子は東京エレクトロンの販売先として公表資料に名前が出る会社です。サムスン電子の株価が動いた日は、自分の銘柄の顧客側が動いた日として並べて見られます。
  • トヨタ自動車・日本製鉄:円/ウォンが動いた日に、韓国の同業と市場全体比で比べると、「円が動いたから」なのか「日本の同業だけが弱かった(強かった)」のかを分けて見られます。
  • 休場明けの日本株:日本が休んだ日に韓国が動いていれば、休場明けの1日分の値動きに韓国の2日分の動きが重なっていることが分かります。

この3つの見方を、週の半ばの「週央チェック」では数字だけで、週末の「週刊レポート」では3つの関係の答え合わせとして公開します。答え合わせは外れも隠さずに載せます。サンプルが少ないうちは、結論ではなく方向の確認としてお読みください。

まとめ

  • 日本株の値動きが日本だけの事情かどうかは、同じ日の韓国の競合・顧客と並べると見えてきます。
  • このブログが毎日採点するのは3層の3つの関係(円/ウォンとトヨタ自動車・日本製鉄、日本の装置株と翌取引日の韓国メモリ株、米SOXの急変と日韓の反応の差)です。1層の世界情勢と2層の金利は、理由を考えるための背景です。
  • 休場日のずれをなくすため日韓共通の取引日だけで比べ、時差がないため順番は翌取引日で確かめます。2026年11月6日時点では、どの関係も判定前です。

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出所


筆者の保有:なし

本記事は個人が公開データをもとにまとめた分析記録であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。データ基準日:2026年11月6日。