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日韓マーケット解説

【解説 第3回】韓国メモリ大手は東京エレクトロンの顧客:同じ日の株価から読めないこと

この記事は、日韓の市場を並べて見るときに知っておきたい基本を解説するシリーズです。記事中の株価の数字は2026年11月5日終値時点、企業資料や制度は2026年11月6日に確認したものです。2026年11月6日に公開した記事を、日本の投資家の視点で書き直しました。

サムスン電子は東京エレクトロンの大口の販売先で、日本の装置株と韓国のメモリ株は同じ日に同じ向きに動きやすい関係です。ただ、顧客の投資計画や同じ日の株価からは、日本の装置株に「いつ、何が届くか」は分かりません。この記事では、読めることと読めないことを分け、順番をどう確かめているかを説明します。

この記事で分かること

  • 東京エレクトロン・アドバンテストの売上のうち、韓国とメモリ向けがどれくらいか(各社の公表資料から)
  • 顧客である韓国のメモリ大手の投資計画から読めること、読めないこと
  • 日本の装置株と韓国のメモリ株の「順番」を、このブログがどう確かめているか

東京エレクトロン・アドバンテストにとっての韓国

東京エレクトロン(8035)は半導体を「つくる」ための装置を(東京エレクトロン)、アドバンテスト(6857)は半導体が正しく動くかを調べる「半導体テスタ」を主力としています(アドバンテスト)。どちらも、顧客は半導体メーカーです。

韓国の顧客として名前が出てくるのが、サムスン電子(005930、韓国)です。東京エレクトロンの有価証券報告書は、2025年4月〜2026年3月の主な販売先として、サムスン電子への販売高3,680億円(総販売実績の15.1%)、台湾のTSMCへの3,158億円(12.9%)を挙げています。前の年度のサムスン電子は11.8%でした。いずれも同じ企業グループ向けを含む数字です。この一覧にSKハイニックス(000660、韓国)の名前はありませんが、一覧に載っていないことは取引がないことを意味しません(東京エレクトロン 有価証券報告書 第63期、23ページ)。

四半期で見ると、次のとおりです。

  • 東京エレクトロンの2026年7〜9月期(2027年3月期第2四半期)の売上高は9,350億円で、地域別では韓国が1,907億円(20.4%)でした。半導体製造装置の新規装置売上7,344億円のうち、DRAM向けが34%、不揮発性メモリ向けが10%です(東京エレクトロン 決算説明資料、2026年10月30日、7〜8ページ)。
  • アドバンテストの2026年7〜9月期(2026年度第2四半期)の売上高は4,777億円で、出荷先別では韓国が646億円でした。テストシステムの売上4,367億円のうち、メモリテストシステムは534億円です(アドバンテスト 決算説明会資料、2026年10月28日、6〜7ページ)。

東京エレクトロン・アドバンテストにとっての韓国

出所:東京エレクトロン(有価証券報告書 第63期、2027年3月期第2四半期決算説明資料)、アドバンテスト(2026年度第2四半期決算説明会資料)、サムスン電子・SKハイニックス(2026年10月の決算発表)をもとに筆者作成

東京エレクトロンの株主から見ると、サムスン電子は公表資料で名前が確認できる大口の販売先で、韓国向けとメモリ向けは四半期の売上の一部を占めています。ただし、地域別・用途別の数字は合計で、どの装置をどの会社にいくら売ったかまでは分かりません。

顧客は何に投資すると言っているか

韓国のメモリ大手は、決算発表で投資計画を説明しています。

  • サムスン電子:半導体を担うDS部門には、メモリのほかファウンドリ(受託生産)などの事業もあります。2026年7〜9月の設備投資は29兆ウォンで、そのうち27.2兆ウォンがDS部門でした。2026年通年では約84.4兆ウォン(DS部門76.8兆ウォン)を見込み、DS部門ではAI・HPC向けの需要に対応する新しい工場などに投資するとしています(サムスン電子、2026年10月29日)。
  • SKハイニックス:DRAMとNANDのメモリをつくる会社です。HBM4(AI向けの高帯域幅メモリ)の生産を増やすためにM15X工場を年末までに最大の生産能力まで引き上げるとし、来年は龍仁(ヨンイン)の第1期工場の本格稼働などで投資が大きく増える見通しだと説明しています。投資の規模と時期は需要などに応じて柔軟に調整するとしています(SKハイニックス、2026年10月28日)。

メモリメーカーの設備投資の一部は装置の購入になり、装置メーカーから見れば売上になります。ただ、顧客の投資計画が東京エレクトロン・アドバンテストの売上に、いつ、どれだけ届くかは、各社の公表資料には書かれていません。このブログでは、その時期や金額を推し量ることはしません。

株価は「同じ日」に動いて見える

株価は「同じ日」に動いて見える

出所:株探、Daum金融(韓国株は正規取引終値)、2026年11月5日終値時点

東京エレクトロンとアドバンテストの平均(装置株)と、サムスン電子とSKハイニックスの平均(メモリ株)を、日韓共通の取引日ごとに並べました。10月28日から11月5日までの6区間のうち、5区間で同じ向きでした。向きが分かれたのは10月29日(装置株+4.2%、メモリ株−0.8%)です。11月3日は文化の日で日本が休場だったため(日本取引所グループ)、11月4日の値は11月2日終値との比較です。

下の段は、装置株の騰落率からメモリ株の騰落率を引いた差です。プラスは10月29日(+4.9)、11月2日(+1.1)、11月4日(+1.6%ポイント)、マイナスは10月28日(−6.2)、10月30日(−0.5)、11月5日(−3.6%ポイント)でした。向きはそろいやすい一方、どちらが大きく動くかは日によって入れ替わっています。6区間だけの観察なので、結論ではなく見え方の確認です。

順番は「翌日」で確かめる

同じ日に同じ向きに動いても、どちらが先かは分かりません。

  • 東京証券取引所の取引時間は9時〜11時30分と12時30分〜15時30分です(日本取引所グループ)。韓国取引所(KRX)の正規の取引時間は9時〜15時30分(韓国時間)です(韓国取引所)。
  • 日本の標準時は東経135度の子午線の時刻で(情報通信研究機構(NICT))、韓国の標準時も法律で東経135度の子午線を基準に定められているため(韓国「標準時に関する法律」)、時差はありません。東京とソウルの正規取引は、同じ時刻に終わります。

韓国では代替取引所「ネクストレード(NXT)」で8時〜8時50分と15時40分〜20時にも売買がありますが(ネクストレード)、このブログは時刻をそろえるため、韓国取引所の正規取引終値だけを使っています。

もう一つは米国市場です。ニューヨーク証券取引所の取引時間は現地時間9時30分〜16時で(NYSE)、日韓の取引が終わった後、次の日の取引が始まる前に開きます。東京エレクトロンが大きく動いた翌日に韓国のメモリ株が同じ向きに動いても、間に開いた米国市場に反応しただけかもしれません。そこで比べる相手として使うのが、米国のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)です。米国に上場する半導体関連の大手30社で構成され、半導体メーカーだけでなく製造装置の会社も対象に含みます(Nasdaq)。

順番は「翌日」で確かめる

出所:日本取引所グループ、韓国取引所、ネクストレード、ニューヨーク証券取引所、情報通信研究機構(NICT)、韓国「標準時に関する法律」をもとに筆者作成

日韓を一緒に見ると

日本の装置株を持つ方にとっての問いは、「自分の銘柄の動きに、顧客側の株価が後から続くのか」「米国の半導体株が大きく動いたとき、自分の銘柄と韓国のメモリ株のどちらが大きく動くのか」の2つに分けられます。このブログは、それぞれを次のように毎日記録しています。

  • 日本の装置株 → 翌取引日の韓国メモリ株:東京エレクトロンとアドバンテストの平均が±2.5%以上動いた日に、次の韓国の取引日のメモリ株が同じ向きに動いたかを数えます。比べる相手(基準線)として、その夜の米国のSOXの向きでメモリ株の向きを当てた割合も数え、装置株で当てた割合が基準線を上回らなければ「米国の半導体株で説明できる」と記録します。
  • SOXが大きく動いた次の取引日の、日韓の反応の大きさ:SOXが±2.5%以上動いた日の次の取引日に(日韓で次の取引日が違う場合は判定しません)、韓国のメモリ株のほうが日本の装置株よりSOXの向きに大きく動いたかを数えます。60%以上なら「韓国のメモリ株のほうが敏感」、40%以下なら「日本の装置株のほうが敏感」として記録します。

採点は2026年11月2日の取引日から始めました。最初の集計は11月7日(土)の週刊レポートで公表する予定で、この記事の時点では確定した集計はまだありません。どちらも12週間たった時点(2027年1月22日のデータまで)で、判定できた日が20日以上あるかを見て、続けるかどうかを決めます。当たった日も外れた日も、週刊レポートで公開します。

まとめ

  • 東京エレクトロンの2025年度の主な販売先にはサムスン電子(15.1%)が入っており、2026年7〜9月期は売上高の20.4%が韓国向け、新規装置売上の34%がDRAM向けでした。ただし、特定の取引先との取引額は四半期の資料からは分かりません。
  • 韓国のメモリ大手は投資を増やす計画を説明していますが、それが日本の装置メーカーの売上にいつ、どれだけ届くかは公表資料には書かれていません。
  • 株価は同じ日に同じ向きに動きやすい一方、どちらが大きく動くかは日によって入れ替わります。順番は「翌取引日」と米国のSOXを使って確かめており、2026年11月6日時点では確定した集計はまだありません。

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出所


筆者の保有:なし

本記事は個人が公開データをもとにまとめた分析記録であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。データ基準日:2026年11月5日。